1. 中国医学と田七人参

中国医学

ひと昔前までは、一部の中国通にしかしられていなかった田七人参ですが、中国では田七人参は医薬品です。中国4000年の伝統医学の裏付けと、さらに近代医学の科学的データの分析も進み、医療の常識を覆す勢いがあります。
日本では健康食品として販売されています。

雲南省の田七人参

田七人参は紡錘型で、持つとドッシリ重く、日本人の持つ人参観とはまるで違ったものです。この田七人参に驚くべき薬効があるのです。
田七人参は中国の雲南省と広西省でしか生産されていません。この山地は標高1000メートル前後の傾斜地で、年間を通して豊富な雨量、温暖な気候、そしてこの地の土壌が田七人参の栽培に欠かせないのです。田七人参は別名「三七人参」といわれるように。収穫までに3年から7年という歳月を必要とします。

田七人参とサポニン

中国科学院昆明植物研究所の調べによりますと、田七人参に含有するサポニンの量は約12%で、高麗人参の4%をはるかにしのいでいます。また、田七人参に含まれるサポニンは他の人参にない田七サポニンA、田七サポニンB、など田七人参にしかない特殊なサポニンが数種類も発見されています。
サポニンの薬効としては、免疫力の増加、疲労回復、精力増強などいろんな卓効があげられますが、なかでも血液のなかの酸素の代謝を促進し、血液の滞りを治し、血液のめぐりをよくする点が強調されています。

本草綱目と田七人参

田七人参が生薬として、最初に文献に収載されたのは、中国明代の大本草学者 李時珍が著した「本草綱目」によってです。この書物の中には、田七人参のさまざまな効能について、書かれております。
(1)オ血(おけつ)
(2)止血(しけつ)
(3)消腫(しょうしゅ)
(4)止痛(しつう)
この効果を順を追って説明しましょう。

中国医学と血液

中国医学は体内の血液の流れを重視します。漢方では「オ血」という言葉をよく使います。オ血とは血液がよどみ血流が滞っている状態を示しています。そのネバネバして流れが悪くなった血液を、サラサラの状態にして流れやすくすることが様々な病気の治療の根本なのです。
田七人参が心臓病や高血圧によいとされているのは、血液に直接働く能力があるからです。高麗人参もすばらしい薬ですが、この効能はなく、田七人参と高麗人参のちがいはここにあります。

活血と止血

漢方の処方のなかには、相反する作用の薬材を組み合わせることがあります。たとえば、発散作用をもつ桂枝と、収斂(しゅうれん)作用をもつ芍薬(しゃくやく)を組み合わせた、桂枝湯などがそれです。こうすることによって、処方としての価値を高めているのです。ところが、同一生薬で同一部分であるにもかかわらず、田七人参は血液の流れをよくする「活血」の作用とそれに相反する「止血」という二つの作用を兼ね備えているのが、大きな特徴です。

消腫

体がむくんでいる状態を「腫」といい、体が張っている状態を「張」といいます。この「腫」と「張」を田七人参は解消します。「腫」も「張」も炎症をともないます。田七人参にはこの炎症を抑える働きのあることが、古くから知られています。
このように見ると、田七人参が肝炎やガン抑制に効果があるのは当然で、田七人参の「消腫」の効能を利用したのが、中国のもう一つの名薬「片仔コウ」なのです。

関節炎とリウマチの痛み止め

田七人参には、先に触れましたように、腫瘍の痛み、内臓の痛みを止める効果があります。それを応用して、関節炎やリウマチの痛みも止めることがわかってきました。田七人参には関節炎やリウマチのような、やっかいな疾患にも効果のあることが、研究により実証されています。



ページトップへ