5. 抗酸化作用の比較
村上恵、村上哲男(近畿大学農学部食品栄養学科)
竹川政範(太陽食品株式会社)
目的
ハトムギは古くから生薬(ヨクイニン)として用いられ、抗腫瘍作用や血糖降下作用など多くの機能を有し、その有効成分についても多くの報告がある。しかし、ハトムギの茎葉部の機能性はほとんど明らかにされていない。
そこで本研究では、ハトムギ若葉の機能性を検討する試みとして、抗酸化作用をin vitro(DPPHラジカル補足能および細胞生存率)とin vivoで評価し比較した。
要約
ハトムギ若葉の抗酸化作用をin vitroとin vivoで検討した。
- ハトムギ若葉のラジカル補足活性および総ポリフェノール量はブロッコリーと比較して、約2倍を示したことから高い抗酸化能をもつことが明らかとなった。
- ヒト血管内皮細胞の過酸化水素障害に対する効果を検討した結果、ハトムギ若葉の水抽出液に保護効果が認められた。その作用は、ハトムギ若葉中のポリフェノール化合物が関与していると考えられた。
- 高脂肪食を与えたラットにハトムギ若葉を投与すると、血中脂質(T.C.,T.G.,P.L.)量は有意に低値を示し、抑制効果が認められた。
- 血漿TBARS量、尿中8−OHdG量ともに対照群に比べハトムギ若葉投与群で有意に低値を示したことから、生体内でも抗酸化能を発揮することが明らかとなった。
以上の結果、in vitroにおいて示された抗酸化作用はin vivoにおいても同様に発揮することが明らかとなった。また、ハトムギ若葉の抗酸化作用にはポリフェノール化合物が関与していると考えられる。抗酸化作用を示す成分については現在、検討中である。
乾燥粉末調整方法
収穫したハトムギ若葉を洗浄後、超高温加湿熱風乾燥処理を施し、葉・茎を選別し粉砕したものである。
実験